オーナーが10年以上前に購入したという逸品。雨シミ
だらけになって持ち込まれました。
オーナー曰く、”履きなれていて、とても大切にしてい
るとのことで、風合 いを損ねることなくシミを落として
ほしい”と・・・
しっかりと革の奥までにシミが入り込んでいます。
Before
茶系の靴は革の質、状態等によりすべての個体が違う色
なので、この依頼は正直ちょっと悩んでしまいました・・・
どうしようか?時間はたっぷりもらえたので・・・さてさ
て。 クリーナーでは落とせないから薬剤でしみ抜きする?
色は抜けるけど どのように風合いを残す??
そうだ!やっぱり得意の水洗いクリーニングで完全にシミ
を落としてから、 お手入れと補色をしよう!となったわけ
で・・・
早速・・・水洗いに取り掛かりました!
強くこすりすぎると革にダメージを与えてしまうので、や
さしくゆっくり丁寧に革の 奥のシミを浮き立たせながら洗
っては乾かし・・・繰り返すこと3回!
1.2.3!
完全に汚れを落とし切りました!隅々まで丁寧に汚れを落
としましたので、シミは なくなりました!
しかーし、油分も色も完全に落ちています。ここからがお
手入れ技術の見せ所です!
さぁ、元の風合いを取り戻しましょう!
After1
ここからはどのようにお手入れを進めたかのご紹介です。
当然オーナー様とお約束した”風合いを損ねることなく・
・・という部分です。
まずは、油分を与え革に潤いを取り戻すことをします。
ここで気を付けなければならないのは、完全に油分が抜け
きった革は、砂漠に水を こぼしたように、どんどん与える
だけ吸収していきます。与えすぎた油分は、今度 は表皮に
戻ってきてしまいますので、与える油分の量の見極めがと
ても、とても大事です!
完全に乾燥した革にもう一度表面だけを水で湿らせます。
これで潤いにムラが出来にくくなるんです。このなんでも
ないひと手間が仕上がりに 大きな役割を果たします。
続いて・・・潤いを与える作業です。
決して一度では仕上げません!
革の状態を目と指先で見極めながら、少しずつ栄養を与
えていきます。 手でまんべんなく全体に塗り込みます。
コバやステッチの中にも手で塗り込みます。
そして・・・ブラッシング。どんどん奥までに染み込み
ます。
塗り込んではブラッシングを繰り返すこと3回!
なかなか良い感じに潤いが戻ってきました!革の質感・
風合いが自然な感じに。 右側の方が色が濃くなってい
ますね。これは潤いを取り戻したからです。 これをも
っと繰り返すともっと色が濃くなります。 今回は3回
で止めました。
完全に革の表情を取り戻しました。
これが施術終了後になります。
元の風合いに戻ったと思います!!
オーナーの好みでNo WAX仕上げです。OFFシーンで
ラフに履きこなすブーツは、 No WAX仕上げでもいい
ですね!
仕上げはお好みに合わせます。悩んだときはお任せくだ
さい!
美しく見えるように個体のらしさを引き出すように仕上
げます!
After2
自画自賛!ですみません!